第4号 安倍首相の「日本を取り戻す」は「軍国主義日本を取り戻す」だった。

メール通信 昔あったづもな 第4号            発信者 小澤俊夫 
      この通信は、84歳にならんとする老人が、過去の日本を振り返りつつ、現在の問題について問題提起をするために勝手に始めたものです。特に、戦後生まれの方々に読んでいただけたら幸いです。内容に納得できたら、どうそ自由に拡散してください。

 安倍首相の「日本を取り戻す」は「軍国主義日本を取り戻す」だった。
 日本人はあまり気がつかなかったようだが、安倍首相の選挙スローガン「日本を取り戻す」の日本とは軍国主義日本であることが、外国人にははっきり見えている。安倍首相の靖国参拝に対して、その直後にアメリカ政府が「失望した」という声明を出した。それに対して日本政府は、説明すれば分かるという生ぬるい反応しかしてこなかった。するとアメリカ政府は開き直って、12月30日、国務省の副報道官が「われわれが選んだ言葉から(日本への)メッセージは非常に明確だ」と述べた。そして、安倍首相の靖国参拝を「近隣諸国との緊張を悪化させるような行動だ」と批判した。
 現在、アメリカにとって、中国は最重要な相手国である。日本はそれに比べるともはや重要ではない。中国の経済力は無視できないし、軍事力の面では危険性をはらんでいる。中国と何とかうまくやらないと、政治的にも、経済的にも危険がある。アメリカにとって日本は家来だと思っている(同盟国なんていうきれいな言葉を使うが)。その家来が近隣諸国、特に中国と争いを起こすことは極めて迷惑なのである。だから「失望した」という表現になった。
 中国の反応はもっとはっきりしている。中国の外務大臣が、年末30日の夜、ロシヤ、ドイツ、ベトナムの外務大臣と相次いで電話会談をした。そこでは二国間関係のほか、日本の問題で意見交換をした。
 ロシヤの外務大臣に対して中国の外務大臣は「中国とロシヤはともに反ファシスト戦争の勝利国であり、一緒に国際正義と戦後の国際秩序を守るべきだ」と述べた。ロシヤの外務大臣も、安倍首相の靖国参拝は「アジア隣国に対する挑発だ」と述べたという。
 韓国の国会では、安倍首相の参拝を「過去の侵略戦争に対して心から反省するどころか、むしろ侵略行為を美化した」ときびしく非難した。そして「未来志向の韓日関係構築と東北アジアの平和に深刻な影響を与える外交的挑発行為だ」とする糾弾決議を本会議で採択した。
 私の知る限り、日本では東京新聞が割に詳しく報じたが、他の新聞では扱いが極めて小さかった。見過ごした人のほうが多かったと思われるので、ここで紹介したのである。この通信第3号でも書いたが、靖国神社は明治以来、日本の軍国主義の中心をなす装置であった。「国の為には命を惜しむな。死んだら靖国神社に神として祀られるのである」。国民はそれを信じて戦地に赴いた。戦死した者の多くは靖国神社に祀られたが、祀られない者もあった。日本兵として招集された韓国人の遺族は祀られることに反対したが、それを押し切って祀られた。とにかく軍国国家を維持するための中心装置だったのである。・
 しかも東京裁判のA級戦犯も、戦後約30年経っていつの間にか靖国神社に合祀された。
靖国神社は、戦後、法律の改正によって独立の宗教法人になったとは言え、軍国主義の中心装置だったところに戦争を指導した責任者たちを合祀し、そこに内閣総理大臣が参拝するということは、かつての軍国主義日本を肯定することになる。これは論理的にいって、日本人といえども認めざるを得ない。上に述べた中国、ロシア、韓国の外務大臣はそのことをいっているのである。特に、「戦後の国際秩序を守るべきだ」という言葉は、はっきりしている。
 つまり、日本は1945年8月15日に「ポツダム宣言」を受諾して無条件降伏したのである。軍国主義を放棄し、民主主義国家として生まれ変わったのである。民主、自由、不戦の平和憲法のもとに、戦後の世界秩序の中に入れてもらった。それなのに今、安倍首相が靖国神社に参拝したということは、軍国主義の過ちをなかったことにする行為である、と外国人の目には、はっきり見えるのである。日本国内の報道だけ見ていると、それがなかなか見えてこない。マスコミは、一部の良心的なマスコミを除けば、なるべく見えないように報道しているのだから。
 こう考えてくると、安倍首相がスローガンに掲げた「日本を取り戻す」は、明らかに8月15日以前の日本なのである。その工程は着々と進められつつある。
 以前にも書いたが、ポツダム宣言受諾による無条件降伏を終戦と呼び変えたことが、今、大きな危険として現れてきたのである。国民もマスコミも、あれは「戦争が終わったのだ」と思ってしまったことが、戦争責任をうやむやにし、軍国主義日本と自由な民主主義日本との区別を見えなくしてしまった。安倍首相はそこにつけ込んできているのである。国民が自由と民主主義を守らなければ、子どもたちに、8月15日以前の日本を贈ることになってしまう。(2014/01/02)
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