第40号 マスコミ支配に乗り出した安倍首相と自民党

昔あったづもな通信 第40号
小澤俊夫

マスコミ支配に乗り出した安倍首相と自民党

 自民党が、4月にテレビ朝日とNHKの幹部を呼んで異例の事情聴取をした。NHKについては「クローズアップ現代」でやらせがあったという問題だが、自民党の真の標的はテレビ朝日であろう。
 「報道ステーション」でコメンテーターの古賀茂明氏が、「菅官房長官をはじめ、官邸の皆さんにはものすごいバッシングを受けてきた」と発言したことについて、自民党の情報通信戦略調査会(会長:川崎二郎元厚生労働相)が、テレ朝の専務取締役を党本部に呼んで、非公開で事情聴取したのである。これは政府自身でなくとも、政権与党の事情聴取である。国家権力による言論弾圧そのものである。こんなことが行われること自体、日本はもう半分全体主義国家になってしまっていることを示している。
 しかも、驚くのは、マスメディアがこれをほとんど問題にしていないことである。本来ならば、テレビ、ラジオ、新聞、週刊誌、月刊誌、あらゆるマスメディアが自分の死活問題、つまり言論の自由の死活問題として、猛烈に批判しなければならないはずである。それがほとんどない。小さな記事としてしか扱われていない。日本のジャーナリストたちは、ジャーナリストであることを、もうやめてしまったのか。昭和の初期、軍部と右翼思想家たちが力をつけ、次第次第に自由な言論を押さえつけていったプロセスを学んでいないのか。
 芸能記事を書くことだけがマスメディアの役割だと思っているのか。芸能人やアイドルたちの身辺のことを書けば、それでマスメディアの役割は完了したとでも思っているのか。
 安倍首相が「ポツダム宣言をつまびらかに読んでいない」と言ったのを、ほんのちょっとした揚げ足取りで済ませていいのか。ポツダム宣言の意味をはっきり理解していないから、「戦後レジームからの脱却」などということを平気で言えるのだ。安倍首相の政治家としての資格を問う問題のはずだ。それを問題にしないということは、ジャーナリストたちも理解していないということを示している。ジャーナリストたちのこの劣化が今日の日本の最大の問題なのではないか。
 われわれ読者のほうが問題に敏感だ。だからこそ、あちこちの反対運動に、あんなに大勢の普通人が集まるのだ。ジャーナリストたちにも是非頑張ってもらいたい。(2015.5.27)
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